P/L中心の収益性分析!

P/L中心の収益性分析には限界がある
☆本当の収益力が見えなくなることがある☆
会社がどれくらい儲けているのかという収益性を分析するときは、一般的にはP/LとB/Sを使います。
代表的な指標に、P/L項目である売上高と利益を対比させた売上高利益率があります。 どの段階の採算を知りたいのかによって、売上高総利益率、 売上高営業利益率、 売上高経常利益率などを使い分けます。
企業が使用するすべての資本(他人資本+株主資本) とこれによって得られた経営成果である事業利益(営業利益+受取利息,配当金一支払利息 割引料)を比較し、総合的に判断する使用総資本事業利益率 (ROA)もよく使われます。


また、株主や投資家の立場から、 投下した資本がどれだけの利益を生み出したのかをみる、 株主資本当期純利益率(ROE)も非常にポビュラーな、 収益性をみる指標です。
P/LやB/Sから収益性を分析するときに注意したいの
は、会計処理方法の違いによって、 本当の収益力が見えなくなることもあるということです。
簡単な例を作りました。
売上高が100億円のA社と200億円のB社があります。経常利益はA社が8億円で、B社が14億円だとします。利益額はB社が上ですが、採算性を知るために売上高経常利益率を計算すると、次のようになります。
A社/8億円+100億円×100=D 8%
B社/14億円+200億円×100=D 7%
上記から、A社のほうが収益性は高いことがわかります。


☆条件が違うと比較対象ができない☆


さらに、両社とも設備投資をそれぞれ100億円ずつ行っていて、減価償却方法はA社が定額法、B社が定率法を採用していたとします。
当期が償却初年度で、 償却期間は10年です。
定額法を採用しているA社の減価償却額は、次のようになります。 残存価額は10%です。
100億円×0.9+10年=9億円
一方、定率法を採用しているB社は次の通りです。
100億円×21%=21億円
償却額はA社よりもB社のほうが、 12億円も多いことがわかります。
もしも、B社がA社と同じ定額法をとったとすると、 償却額は12億円少なくなります。 その分利益が増えますから、 経常利益は26億円となり、 売上高経常利益率は、
26億円+200億円×100=13%
となります。条件が同じ場合の、本当の収益力という意味では、B社のほうが上ということになるのです。
会計処理の違いによっては、誤った結論になってしまうところに、これまでの収益性分析の限界があるといえます。

資産·負債·資本を押さえる
☆資金の調達方法と運用先をつかむ☆

P/Lからは利益を知ることができます。 しかし、それまでの利益の蓄積がどれくらいあるのか、 必要な設備をどれくらい持っているのか、 資金調達はとのような形で行っているのか、ということを知ることはできません。 こうした会社のストック面を知りたいときは貸借対照表 (B/S)を見ます。
B/Sは資金の調達や運用といった会社の財政状況を明らかにしたものです。 B/Sは借方 (単に左側のこと)に資産の部、貸方(右側のこと)に負債の部と資本の部という構成になっています。
会社が資金をどうやって調達するかは、とても重要な問題です。 貸方はこの資金調達の方法の違いを示しています。資本(株主資本または自己資本といいます)は株主などから集めた資本金や会社が事業などから得た資金で、 負債 (自己資本に対して他人資本ともいいます)は銀行からの借入れや社債の発行などによって調達するものです。
資本は返済する必要はありませんが、負債は期限が来ると必ず返済しなくてはなりません。
調達した資金をどのような資産に運用しているかを表しているのが、借方の資産です。 借方の資産と、 貸方の負債と資本は同じ金額でバランスしているので、 貸借対照表をバーランスシといいます。

3つの資産の違い


資産は大きく分けて 流動資産、固定資産、 練延資産の3つがあります。
流動資産に含まれるのは、 現金預金、 営業活動から生じる受取手形や売掛金、短期間の資金運用を目的とする一時所有の有価証券、販売されれば原価になる棚卸資産などがあります。流動資産は現金化しやすい順に表しています。
これに対して固定資産は、 会社が事業を行っていくために必要な基礎的な資産で、1年超の長期にわたって使用されるものです。具体的には、使用するために保有する土地、建物
機械などの有形固定資産、 または子会社や関連会社の株式、取引上の便宜を得る目的で所有する投資有価証券などが、固定資産に分類されます。
繰延資産は、すでに支出された費用なのですが、その効果が1年間だけではないため、 一定の期間にわたって合理的に配分するように、資産として計上するものです。 創立費や開業費、新株発行費、 社債発行費、 社債発行差金、開発費、 試験研究費、建設利息の8項目があります。
ちなみに、負債においても流動負債、固定負債と区分されます。流動負債は支払手形、 買掛金、1年以内に返済期限がやってくる社債や借入金などです。
固定負債は、1年を超えて支払期限がやってくる社債や長期借入金、それに引当金のうち1年を超えて取り崩される見込みのものなどが含まれます。