オバちゃん、パワーを侮るべからず

オバちゃん、パワーを侮るべからず

40~50代の主婦は貴重な戦力

男性の独壇場だった大型トラックの運転台やガソリンスタンドのスタッフに、女性の姿が増えて驚かされたのは「今は昔」のことです。現在では女性があらゆる職場に進出するようになり、販売やサービスの仕事などは女性なくして成り立たなくなっています。
さらにいつのころからか、ファミレスやコンビニなどで女性スタッフの平均年齢が上がってきているように感じませんか。オシャレな制服が評判のお店で、ちょっと着心地が悪そうにその制服で店内を動き回っている主婦層の方を目にしたりすると、とくにそんなふうに思います。少子化の影響で、そうしたお店に応募してくる学生アルバイトの数が減っていることが、その大きな理由の一つ。そして、あまりかんばしくない景気動向などもあって、女性、それも主婦の労働意欲が大いに高まっていることも大きいのではないでしょうか。
こうした現状を考えると、「人」の問題でもう一つ皆さんの盲点になっていることをお教えしましょう。それは、オバちゃん。(失礼!) スタッフのもつパワーのすごさであり、そのパワーをお店に活用しない手はないということです。とくに40代後半から30代前半くらいの方は、もうお子さんも巣立っていますし、ご主人も帰りの遅いことが多い。そうなると自由になる時間が長いため、彼女たちをうまく乗せていくと本当によく働いてくれます。
朝からシフトに入ってくれて、豊富な主婦歴を活かしてお店の掃除なども実にてきぱきとやってくれます。接客にしても、社会的な常識はわきまえたうえで、言葉は悪いですが「海千山千」ですから、言葉巧みにお客様をいい気分にして売上につなげてくれます。しかも、ありがたい(?)ことに世話好きな方が多いので、掃除のやり方やら何やら、若いスタッフにいろいろと教えてくれるのです。
そうした方を採用して様子を見ていると、なかには自分のお子さんに商品を試着させてみて、「アメリカの商品だから、新生児用でもウエストが太いのね。お客様にはワンサイズ下げておすすめするべきよ」などと、自主的にアルバイトスタッフを集めて勉強会を開いてくれるような方もいました。
GAPの場合、子供服もベビー服も扱っているのですが、大半を占める独身の若いスタッフは当然、子育ての経験がありませんから、そうした商品を売る能力が乏しいのです。
それをまさにオバちゃん、スタッフが、力強く補ってくれていたのです。
先に紹介した「個性派集団のお店は強い」というのは、こんなことにも現れています。

戦力化するにはまず話を聴くこと

ところが、若い店長や若い社員スタッフなどは、一般的にオバちゃん、が苦手です。
相手のほうが自分より口は達者だし、自分の言うことをあまり聞いてくれないからと、採用のときにも、苦手とするオバちゃん、ではなくて、若くて使いやすそうな、自分の子分にしたい人を採りたがるものなのです。
そこで私は彼らに、「そんな考え違いをしてはダメだよ。オバちゃん、は、しっかり話を聴いてコミュニケーションを取れば、これほど頼りになる戦力はないよ」と言い続けました。
「私が店長時代に学んだことの一つに、部下が増えていけばいくほど「聴く」というスキルが必要になるというのがあります。
つまり、店舗の運営を任されたときに、スタッフに対する接し方には二種類あるのです。
一つは「あれをしてくれ」という指示・命令によって、目の前の課題を潰していくやり方。
これは、ともかく短期間で課題を解決しなければならない場合の手法です。
もう一つが、課題に対して「どうしたらいいと思いますか」とスタッフの考えを聴くことで、スタッフに自主的に考えることを促し、そのうえで解決させるやり方です。
これは、すぐに結果を求めるというよりは、その人間に課題を解決するための対処法を身につけさせるという、育成に主眼を置いたやり方で、いわゆる「コーチング」という手法です。この場合、最終的な成果が出るには時間がかかりますし、見ている側にも我慢が
必要となります。
課題によって、この二つを上手に使い分けなければならないのですが、対するスタッフによっても使い分けが有効なのです。
一般的に若いスタッフには、「これをやってくれ」という言い方がふさわしい場合が多いのです。彼らにしてみれば、真っ白、な状態ですから、とりあえず勉強ということで、指示・命令を受け入れやすいからです。
しかし、年齢がある程度、自分より上の人たちに対して指示・命令口調で接するというのは、言うほうもイヤですし、言われるほうも面白くないものでしょう。
そこで、「現状はどんな感じですか?」とか、「何か問題はないですか?」「サポートは必要でしょうか?」といったふうにまず尋ねてみて、相手の考えを聴くようにします。
そのうえで、「じゃあ、わかりました。こういうサポートをしますので、これをいつまでにやれるように頑張っていただけないでしょうか」といった形でお願いをすると、気持ちよく力を発揮してくれます。
場合によっては指示・命令が必要な場合もありますが、基本的にはオバちゃん。スタッフにはコーチングのスタンスで接すると、大きな戦力になってくれるものです。