一人の一〇歩より一〇人みんなの一歩が大事!

☆誰がやっても同じサービスが提供できる仕組みづくり☆

前項ではコーチングの話など、すでにスタッフの育成についても少し触れましたが、多くの経費をかけて「これは」と思えるスタッフを採用しても、次に彼らをきちんと教育しなければ戦力にはなりません。
スタッフが売場にただ立っているだけ、スタッフ同士でおしゃべりをしているだけのお
店では、「感じの悪い店だ。もう、絶対に来るものか」と、お客様に二度と来店していただけません。
こんなことでは、何のためにスタッフを採用したのかわかりませんね。
こう言うと、「スタッフの教育が大事なのはわかっている。でも、そんな時間がいったいどこにあるんだ」と、店長さんや売場責任者の皆さんの悲鳴に近い声が聞こえてきます。
私だって、ずっと飲食店の現場を経験してきたのです。何日も徹夜して作業するのが当たり前だったのですから、皆さんが大変なのはよ~くわかっています。
でも、ここは腹をくくって「やるしかない」のです。皆さんのお店が「ジャンジャン儲かる繁盛店」になれるかどうか、ここがその分かれ目だからです。
お客様は、さまざまなニーズや期待を招いて来店されます。ですから私たちは、訪れてくださるお客様の一人ひとりに対して、可能な限りのサービスを提供するように努めなければなりません。
そのためにスタッフ教育、なかでも接客サービス教育は、お店の繁盛を左右する重要なものとなります。
実は、接客サービスについては、とくにスタッフに教育しなくとも、個人的にある程度
のことはできるのです。なぜなら、お店を構成するスタッフというのは、別のお店に行けばお客様でもあるからです。

つまり、自分がお客様の立場でしてもらってうれしかったこと、心地よかったことを、今度はお客様にしてさしあげれば、お客様は喜んでくださいます。自分が飲食店のスタッフとして、お客様に喜んでいただきたいという熱意があれば、そうした「チョイ良」サービスが提供できるというわけです。
ところが、そこに落とし穴があるのです。負け組とされるお店の場合、接客はスタッフ任せ、スタッフ教育は店長任せで、スタッフの接客レベルもお店のサービスレベルもバラバラのことが多いのです。
たまたま接客に優れたカリスマ販売員がいて、お客様にいいサービスをご提供できて売上を伸ばし、お店の業績を支えてきたとしましょう。しかし、そのサービスの内容をスタッフ全員が共有できていないので、その人が退職するとお店の売上はたちまちジリ貧になる、そんな例が少なくないのです。
あなたのお店を、そんな店にしてはいけません。スタッフ個人の「チョイ良」、ではなく、お店全体で「お客様の期待を超えるサービス」を提供して、勝ち組を目指します!そのためには、どんなに忙しいからといって、スタッフ教育をおろそかにしないという「覚悟」をまず、もたなくてはいけません。
☆重要なのはスタッフ教育のルールの確立☆

とは言え、皆さんが超多忙だという現実は変わりませんから、少しだけ手抜きのできるやり方を考えましょう。それには、勝ち組店の教育の仕方をマネしてみるのです。
「勝ち組店、のお店はどこも、接客などのルールを決め、それをマニュアル化し、統一された教育を行なうことで、全店舗の全スタッフが質の高いサービスを実現し、売上を向上させていました。
統一されたマニュアルで教育されているために、言ってみれば全スタッフが「カリスマ」店員となり、いつでも繁盛していたのです。
こう言うと、皆さんからブーイングの嵐が起こりそうです。笑「資本力のある大手企業だから、そんなことができるんだ……」とか、「マニュアルをつくってもらうには、大金がかかるでしょう……」とか。皆さんの指摘は半分は正しい。でも、失礼ながら、半分は間違っています。
「資本力があるから、スタッフ教育に大金がかけられる」というのは、たしかにそのとおりです。勝ち組店舗「接客」に限らず、スタッフ教育のやり方などについてまで、実にさまざまなマニュアルがつくられています。
また、マニュアルに限らず、教育用のビデオなども用意されているなど、「スタッフ教育に大金をかけて」いるのは事実です。
ただ、それは世界各国に店舗を展開し、肌や目や髪の色が違い、考え方も文化も風習も違うスタッフが、世界中のどこででも同等のサービスを提供するためには不可欠な投資なのです。そして、その投資に見合うワールドワイドな売上も得ているのです。
しかし皆さんのお店に、そこまでの内容をもち、しかも多岐にわたるマニュアルが必要でしょうか?要りませんよね?
皆さんのお店にとって,現実的 な接客のルールだとか、限られたもので十分なはずです。
そのうえで、もっとも大事なポイントをお教えします。それは、マニュアルをつくってスタッフに渡し、それで教育が終わったと勘違いしてしまわないことです。
小売店に限らず日本企業の多くでマニュアルを採り入れていますが、マニュアルができてしまえば、スタッフに「これを読んでおけ」と渡して終わりにしているところが大半です。これでは「教育放棄」だと、教育マニュアルで教えてあげたいくらいです。
勝ち組店舗では、接客についてであれなんであれ、その内容をルール化してマニュアルを作成しますが、そこからが真のスタッフ教育の始まりなのです。
つまり、マニュアルの内容について、なぜそうすることが必要なのかとか、どんな効果があるのかとか、行動の背景になる部分にまで踏み込んで教え込み、さらにその行動がきちんとできているかを、店長や責任者が日々確認しなければ、効果は上がりません。
勝ち組によるスタッフ教育の方法を単純化すると、「ルールを教える」→「やらせてみる」→「できているかを確認する」となります。マニュアルは、この「ルールを教える」ためのものでしかないのです。
重要なのは、いかに高額なマニュアルを用意するかではなく、こうした教育のルールを社内にしっかりと根づかせ、接客などそれぞれの課題に対するマニュアルの内容が、スタッフによってきちんと実行されるかなのです。