ほぼ内勤なのに「営業成績トップ」になった人が続ける3つの習慣

■「営業とは足で稼ぐ」という考え方の崩壊

こうなると特に変革に取り組まなければいけないのが営業部門でしょう。これまで営業といえば「営業とは足で稼ぐもの」であり、顧客先をとにかく数多く訪問すれば信頼を獲得できると考えていた企業は多いと思います。いわゆるフィールドセールス(対面型営業)です。

 しかし商談相手がテレワークをしていれば、訪問するわけにはいきません。このような状況で、インサイドセールス(非対面型)で成果を出すためにはどうすればいいのでしょうか。

 心がけたのは「データを集める」「計画をスケジューラーに記入する」「その計画を上司や同僚に公開する」という3つの習慣を実践することでした。

■メールや電話は「御用伺い」ツールではない

まず1つ目の「データを集める」ことの重要性をお伝えしましょう。非対面営業で成功するには事前の準備が欠かせません。顧客の表情やしぐさといった、いわゆる非言語情報が乏しく、話す内容が重要になるからです。

 これまでの対面型営業であれば、電話やメールといったツールは訪問するための日程調整手段と捉えている人が多いのではないでしょうか。ただ非対面営業になると、電話やメールこそが本番です。本番での成功は事前準備で決まるといっても過言ではありません。

営業職でテレワークに取り組む人の最も大きな課題は「オンラインでの商談や社内会議での意思疎通」が難しいということです。

顧客ごとに先方が興味を示す話題とこれまでの経緯をまとめることです。担当者の記憶や手書きのノートに頼っていては満足に答えられません。

 顧客の目的や関心、過去に得たフィードバック、話しやすい時間帯、好まれるアプローチの方法(電話、メール、その他)などを、顧客別に検索可能なデータの形で整理しておくことが必要です。そうすればとっさに相手から電話がかかってきても慌てることなく対応することができます。

大切なのは対面型営業で移動に費やしていた時間を「顧客を知る」ために充てること。

■顧客に準備する時間もスケジューラーに記入

2つ目の習慣は「計画をスケジューラーに記入する」ことです。

 一般的なスケジューラーの使い方は訪問や会議のほか、出張や休暇といったオフィスを不在にする理由を記入することだと思います。ただ私が提案する計画はもっと細かいものです。15分あるいは30分単位で細かく業務の計画を作ります。最初は「顧客のA課長に商品Bについてフィードバックをもらう」といった簡単な入力で構いません。

 ポイントはここからです。顧客のA課長にフィードバックをもらうためには、どう話を切り出し、何を伝え、質問を受けた場合にどう答えるのか、入念な準備が必要です。その準備をする時間も、スケジューラーに記入して確保します。

 顧客にコンタクトできない2大理由は「自信がない」「時間がない」です。自信を得るために準備し、実行するための時間を確保すれば、思ったとおりのペースで顧客にコンタクトできます。

なかでも重要な顧客との電話については、「アイスブレーク・トピックス」「トーキング・ポイント」「FAQ(よくある質問)」の3つの項目を用意してスケジューラーに記入します。

 計画を通じて得る自信は、受験勉強やスポーツの準備を通じて得る自信によく似ています。余裕をもって本番を迎えるために、逆算して行動計画を立てていくのです。こうして1日単位の仕事の計画を詳細に作成します。

 この習慣を身につけるポイントは「やらされ感」を排除し効果を実感することです。まず1日1件、しっかり準備した予定をスケジューラーに記入してみます。自分の仕事の質がぐっと向上したことを実感できるでしょう。これを徐々に2つ3つと増やしてゆくと、自分自身が計画に頼り始めます。

■チームの動きを可視化し緊張感を確保する

3つ目がスケジューラーに記入した計画を「上司や同僚に公開する」ことです。

 テレワークの課題として挙げられるのは、結果が出る前のプロセスが見えにくく評価しづらいことにあります。多くの担当者は営業成績に加えて、その過程も評価されることを望んでいます。スケジューラーに取り組んできた内容を細かく入力しておくことで行動の履歴となり、フェアな評価の判断材料となります。

 スケジューラーが従来のように「不在理由の表明」にとどまっていると、人事評価が心配になり、上司への不要な報告に時間を割かれがちになります。顧客のために使う時間が減ってしまい、結果的に営業成績が振るわないなんてことになりかねません。

 そして各担当者の行動履歴を同僚に公開することによって適度な緊張感とチーム・ワークが生まれます。オフィスに出勤していると、同僚が顧客と電話する声が漏れてくるなどして、成績向上のために発奮しようと思います。

 それと同じでたとえテレワークであっても、行動を公開することで互いの動きが見えるようになり緊張感を確保できるのです。また、相談を持ちかけるタイミングがわかりやすく、雑談による情報交換などのきっかけをつかみやすくなります。

■思い通りの行動を取れる働き方を実現するために

朝9時までにその日の仕事の計画を立て、午前中は電話営業に集中します。電話帳機能のメモ欄に、ヒアリングで得た顧客の特徴や過去のフィードバックをアップデートしながら進めます。15分あるいは30分刻みで、誰に電話し何を伝えるかを計画し、できる限りその通りに実行していました。

 予期せぬ電話や会議の招集があっても「こういう理由で大事な電話をしなければなりませんので……」と丁寧にお断りし、計画通りに動いていました。

 計画的なテレワークは邪魔されることが少なく、思い通りの行動を取りやすい働き方です。より集中でき、その結果、仕事効率も上がると考えています。

 また、新たな商談の発見を常に心がけることで、ご無沙汰になりがちな顧客もフォローできました。重要な顧客とは面談の頻度を落とさずに関係を深め、稼働していない顧客を減らして行きました。

 最初は半信半疑で始めた計画作りであっても、その効果と必要性を一番強く感じるのは計画を作る自分自身です。こうした取り組みを通じ、テレワークでも、仕事の進め方を工夫すれば営業成績は伸ばせます。