電気自動車は今後いつになったら普及する?

初めて三菱自動車がリチウム電池を使った本格的な電気自動車の量産に成功してから早10年。量産化され一般向けに販売された時から、これで本格的に電気自動車の時代が到来すると言われ続けてきましたがそう言っているうちに10年という時間が流れてしまいました。街中を走っている車を見てみるとちらほらEVは見かけますが、本格的に普及しているのとは程遠い状態です。なぜEVは普及する普及すると言われながら未だにそこまで社会に浸透していないのでしょうか。そして今後本格的に普及していくならそれはいつになるのでしょうか。今回はそんな電気自動車の普及についてお話していきます。

電気自動車が未だにそこまで普及しないわけ

電気自動車が未だにそこまで普及しない理由をここでは見ていきます。

リチウムイオン電池の価格

リチウムイオン電池が登場する以前に電気自動車の電池として考えられていたのはニッケル水素電池でした。ニッケル水素電池は長年、携帯の電源などに広く使われていましたが、電圧も何倍も強く重量も軽いリチウムイオン電池の影響で瞬く間に姿を消していきました。

そんなリチウムイオン電池ですが、もちろん電気自動車にも使われています。しかし、電気自動車が普及できない理由の一つとしてこのリチウムイオン電池の価格が高いということが挙げられます。電気自動車がガソリン車と比べて割高になってしまっているのはこのリチウムイオン電池の価格が電気自動車の価格の大半を占めているからです。その価格が一体どのくらいかといいますと日産のリーフの場合250万円ほどが電池にかかるお金と言われています。

リチウムイオン電池に多くのお金がかかってしまう結果、電気自動車そのものの価格も上がってしまいます。では、リチウムイオン電池ではない電池にすれば良いじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、電気自動車において一番大事なのは航続距離。ガソリンスタンドほどたくさん充電できる場所があるわけではないので一回の充電でどこまで走れるのかというのは非常に重要になってきます。皆さんも電気自動車を買うとなったら一番そこを心配するのではないでしょうか。しかし、航続距離を伸ばすためには必然的に高価なリチウムイオン電池を使うしかないのです。

インフラの整備

電気自動車に買い換えない理由として先ほども挙げた通り充電できる場所があまりないということを気にする方は多いと思います。このインフラの整備も電気自動車が本格的に普及しない理由です。ここ最近、ガソリンスタンドの店舗数が年々減少しており現在その数が3万店舗ほどと、全盛期に比べて半減しました。

一方の充電器の箇所数はおよそ2万箇所。年々増えてきていますがその数の差はまだ一万ほどあります。また、充電器の設置場所についても大きな課題が残っています。一戸建てに住んでいる人は自分の家で充電できるのに対し、日本の人口の約4割が住んでいる共同住宅には充電器が設置していない場合が大半のため自分の家で充電ができません。日本の4割の人が自宅で充電できずにいるということは電気自動車が普及できない現状の大きな課題と言えるでしょう。

なぜハイブリッドはすんなり普及できた?

そんな苦戦している電気自動車に対してハイブリッド車はすんなりと普及していきました。2019年上半期の軽自動車を抜いた車種ごとのランキングでは一位がプリウス、二位がノート、三位がアクアとハイブリッド勢が独占しています。では、ハイブリッドはなぜここまで好調に普及したのでしょうか。

トヨタ プリウスの販売戦略

ハイブリッド車が普及できたわけを話す上でハイブリッドの火付け役となったプリウスとの関係は外せません。初代のプリウスが出た当時、ハイブリッドカー=プリウスというくらいまでに認知されていました。そこまで認知してもらえた理由の一つにトヨタの販売戦略が挙げられます。

初代のプリウスの価格は250万円ほど。これはトヨタからすれば売れば売るほど赤字がでる価格設定でした。ではなぜこの価格に設定したのかといいますと、まずハイブリッドというものの認知を世に広め、ハイブリッドといったらプリウスとなるように利益無視でここまで低価格に設定したのです。また、低価格にすることにより立場のある町長や市長などが乗っていても高い車に乗っているという認識を市民に一切感じさせることなく、環境に気をつけているということもアピールできます。こうした戦略がありハイブリッドは新技術ながらすんなりと普及していきました。

今電気自動車の先頭を走るリーフ

最初に量産化に成功し販売したのは三菱のi-mievでしたが、今現在もっとも売れている電気自動車は日産のリーフになっています。皆さんも電気自動車と聞いて一番に思い浮かぶのはこのリーフかもしれません。そんなリーフですが最近になり車として使うだけではない新たな使用方法が注目されています。ここではその使用方法について紹介します。

リーフを家電に?

リーフの新たな使用方法が注目されている理由として、電気会社が電気を一定のお金で買い取ってくれる固定価格買取制度が2009年に開始されましたが、2019年に10年間の買取期間を満了する世帯が多く生じるということが挙げられます。そこからもう一度買い取ってもらう契約をすることもできますがその際の買取価格は大幅に下がってしまいます。

そこで、日産が提案しているのがリーフを車としてはもちろん、蓄電池としても利用するという方法です。太陽光で発電して、余った電気をリーフに貯めておき、夜に使用することで電気の自給自足を可能にします。また、太陽光発電のない家庭でも、夜の料金の安い電気を貯めておき、昼に使うことで電気代を節約できます。

さらに重要な使い道が災害時の生活電源としての利用です。一台のリーフで一般家庭2〜4日分の電気を賄うことができるそうです。最近では台風や地震による災害が相次いでいます。電気が止まって大変だったという方も多くいるでしょう。そんな時のために備えておくというのも、電気自動車の購入を考える際の一つのきっかけになりそうです。

新たに開発されているMAZDAの電気自動車

現状はリーフが独占している電気自動車市場ですが、最近になりMAZDAもそこに参戦することになりそうです。まだ販売はされていませんが新たに開発されているMAZDAの電気自動車について紹介していきます。

MX-30

今年の東京モーターショーでお披露目されたMAZDAが本格的に力を入れている電気自動車MX-30。CX-30をベースにしたこの車の他にはない特徴が観音開きドア。このドアの開き方はかつてRX-8にも搭載されていて乗降性やデザインの面で評価されていました。ドアとドアの間に柱がない構造も相まって開放感のある車内を実現しています。

この車の電気自動車としての特徴が“電気自動車すぎない”ところ。MAZDAは電気自動車を作る上でガソリン車と同じような運転感覚を大事にしました。そのためリーフのようないかにも電気自動車らしい車とは一線を画しています。

今後本格的に普及するのはいつ頃か

では最後に本格的に普及し始めるならその時期はいつ頃になるのかについてお話していきます。

欧州ではCO₂規制の影響でもうすぐ普及?

先ほど紹介したMAZDAの電気自動車も最初に販売されるのは欧州で、その予約はもうすぐ始まります。最初に欧州で販売する背景としてEUが掲げている2021年までに販売されている車の1kmあたりのCO₂排出量を95g以下にしなければならないという排ガス規制に対応する目的があります。1kmあたりのCO₂排出量が95g以下というのはリッターに直すと24.4km/l以上というとても厳しい規制です。この影響で欧州の自動車メーカーはなんとか規制をクリアしようと電気自動車の普及に力を入れています。欧州に関しては2021年以降急速に電気自動車が普及していくでしょう。

一方日本では、そういった電気自動車を普及させなければならない政策はありませんので、自然と電気自動車の価格が下がっていくのを待つしかないようです。年々リチウムイオン電池が普及していくことと研究によりリチウムイオン電池の価格は下がってきています。自然エネルギー財団によりますとこのペースでいくとガソリン車と価格が逆転するのが2025年頃と考えられています。そのためそこから本格的に普及していくと考えても社会全体に行き渡るのに2030年頃まではかかりそうです。そうなると、電気自動車が市販車として登場してから20年以上。今はまだ半分しか経っていません。